「専門医」って本当に「専門医」?


勘違いしやすい「専門医」という肩書き

心臓病やがんなどで「〜〜専門医」という肩書きがあると、その部位の手術においては確かな技術を持っていると思ってしまいますが、実はこの「専門医」必ずしもそうとは言えないようなのです。専門医の認定をするのは、一つの統合された機関ではなくそれぞれの学会なのです。

決めているのは、各学会

専門医になるには、所属している学会への出席や加入年数、研修医療機関での治療実績に加え、筆記や面接などの試験を課すのが一般的ですが、各学会が独自に認定の基準を決めており、ばらつきが大きいのが現状です。現在、120以上の学会が独自に「専門医」を設けており、「専門医」が乱立乱造されてしまっています。

名ばかりの実技試験導入

例えば、「心臓外科専門医」は、学会が認定した研修や実務経験などの条件を満たせば筆記試験だけで専門医として認定されていましたが、専門医の医療事故が相次いだため、批判が起こり、実技試験を導入することにしました。しかし、実際は100人中5人を無作為に抽出し、その5人だけが実技試験をするだけです。これでは本当に実技試験導入なのか非常に疑問です。

さすがに見直しを検討?

また、乳癌学会は「乳腺専門医」を認定しています。「乳腺専門医」制度が設けられたのは1997年で、筆記や面接試験を始めたのは2001年です。それまでは過去の症例実績で、つまり“年功”で専門医認定を受けており、その数は今でも「乳腺専門医」全体の半数以上にのぼります。専門医の医療事故などが相次いだこともあり、最近では日本医師会で専門医制度の見直しの議論もされているようですので、今後も推移を見守りたいと思います。