借金担保に診療報酬が使われる!


約3割の病院が赤字経営

全日本病院協会の調査で、約3割の病院で経営が悪化し、収支が赤字に陥っていることが分かりました。特に都市部の病院が厳しく、東京都ではなんと約6割の病院が赤字経営になっています。診療報酬改定(引き下げ)などが影響しているようです。

診療報酬が担保に

経営が悪化した病院に対し、病院が受け取る診療報酬を担保にして、法定利息を上回る利息で融資をしている貸金業者の存在も明らかになり、問題となっています。貸金業者にとって診療報酬は、支払基金の審査で多少の減額はあるものの、約2ヵ月後にはほぼ確実に支払われる優良な債権なのです。現在のところ規制がないのですが、悪用されれば患者の生命に影響を及ぼす恐れもあるので、対策が必要でしょう。

患者の医療費未払いも急増

さらに、病院経営悪化に拍車をかけそうな懸念材料が、治療を受けた患者が医療費を支払わないケースが急増していることです。全国規模で、医療費未払状況を調べたところ、9割以上の病院で未払が発生しており、年間未払額が少なくとも200億円以上にのぼっていることが分かりました。

払えるのに払わないケースも

病院側が考える未収金発生理由の第1位は「低所得層の増加」、第2位は「医療費の自己負担増」として、“払いたくとも払えない”ケースが多いことは認めています。しかし、“払えるのに払わない”ケースの増加も目立ってきています。未収金発生理由の第3位は「患者のモラル低下」。病院が後から連絡をしても、居留守を使ったり、本人でない振りをしたりするといった悪質なケースも多くなっているようです。