「ガン難民」70万人! 問題山積みガン治療


「ガン難民」が70万人も!

ガン患者のうち、医師の説明や治療方針に納得できず、複数の医療機関をさまよう「ガン難民」がなんと70万人もいます。医師の説明時間が短かったり、理解できるまで主治医に説明を求めていなかったりという傾向にあり、説明不足や情報不足が原因となっているようです。

少ない抗ガン剤専門医

専門医の少なさもその一因でしょう。抗ガン剤は、手術以外の治療法の柱で、再発や転移を防ぐ目的のほか、手術前にガンを小さくしたり、放射線治療と組み合わせたりなど、様々な使い方をされます。しかし、国立がんセンターで他院から紹介された乳ガン患者を調べたところ、紹介前の病院での不適切な治療が4分の1もあったのです。日本の抗ガン剤専門医認定最近出来たもので、認定医は2007年時点でたった126人、米国の1万人に比べかなり遅れています。

「緩和ケア」が緩和

こうした様々な問題を抱えているガン治療に関して「がん対策基本法」が2006年に成立しました。例えば、主に終末期患者への治療とされてきた患者の心身の痛みを取り除く「緩和ケア」を、患者の状況に応じて早期から適切に行われるようにすることが法律に定められました。ガン診断と同時に「緩和ケア」が開始されるアメリカに比べて、日本では痛み止めのモルヒネ消費量が7分の1と極端に少なかったのです。

ガン登録は進まず・・・

しかし「がん対策基本法」において、患者数や治療成績を把握し、治療成績を向上させていくために不可欠な「ガン登録」への取組みは踏み込めませんでした。海外では法律で全患者のデータを収集して対策に役立てている国は少なくありません。日本では、基本法で情報収集提供体制の整備は規定されましたが、登録の義務化はプライバシー保護を理由に見送られてしまったのです。

  


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