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       忘れ去られた「正しい知識」と「冷静な行動」 
       
       
       
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             新型インフルエンザの海外での発生をうけ、日本政府は4月28日より、メキシコ・米国・カナダからの便の機内検疫を始めました。約360人の検疫官だけでは対応できず、5月末までに防衛省や国立病院などから、延べ2450人の医師や看護師をかき集めて行なった水際作戦でした。 
             
             
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             しかし、水際作戦の有効性については、当初から専門家の間で疑問の声があがっていました。インフルエンザには3〜7日間の潜伏期間があり、発症前から感染力があります。また、インフルエンザの症状は、頭痛や発熱といった非特徴的なものが多く、典型的な症状に陥った時には、周囲の人々に既に感染している可能性が高いのです。 
       
       
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             WHOも検疫の効果には否定的な見解を示しており、国際基準にも逆行しています。有効的でないだけでなく、さらなる罪も指摘されています。空港での厳しい検疫体制は、逆に、国内での感染の可能性は無いとの思い込みを生んでしまい、国内感染の確認が遅れ、大量発生につながったという批判の声もあります。 
       
       
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             また、強毒性のインフルエンザに対応したマニュアルを変更せず、感染者に対して強制入院や停留措置が行われ、広い範囲での学校閉鎖や行事自粛などが行われました。しかし、逆に世論の不安を煽ってしまい、関西圏での大規模な経済的損失や、感染者を加害者のように批判する人がでるといった状況を生んでしまった可能性は否めません。 
       
       
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             新型インフルエンザに対する第1の予防は、“正しい知識を得て、それに従い冷静に行動する”ことなのです。しかし、これまでの政府の対応や人々の反応をみると、全く逆のことが進行したように思われてなりません。 
       
       
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