問題!安易に使われる救急車


出動件数 20年前の2倍

救急車の出動件数は年々増加していて、本当に必要な人への対応が遅れることが問題になっています。例えば東京都では、現場までの平均所要時間が、10年前と比べて1分長くなりました。「たかが1分間…」と軽く考えてはいられません。心肺停止などの重篤な状態では、1分違うと生存率が大きく違ってくるのです。

救急車を呼んだ理由

救急車を呼んだ理由は、次のようになっています。
 1位  自力で歩ける状態ではなかった  52%
 2位  生命の危険があると思った  29%
 3位  夜間・休日で診療時間外だった  17%
 4位  どこの病院に行けばよいか、分からなかった   8%
 5位  救急車で病院に行った方が、優先的に診てくれると思った   4%
 6位  交通手段がなかった   4%
              (複数回答のため、数字の合計が100%以上になります)

かなり多い 不適正利用

3位以下の理由をみると、“それほど緊急性がないのでは?”という理由が並びます。いわば不適正利用と言え、その総数が3分の1にまで及んでいます。救急車を要請した本人自身が、“それほど重症でない”と分かっていたり、タクシー代わりに救急車を呼んだりといった、悪質なケースもかなり見受けられるようです。

いきなり救急車を呼ぶ前に

高齢化がすすみ独居老人が増え、ちょっとした病変でも、強い不安から救急車を呼ぶ場合があるかもしれません。核家族化がすすみ、周りに相談者のいない母親が、子供の病変にびっくりしてしまい、慌てて救急車を呼ぶケースもあるようです。不適正利用をする悪意がなくても、つい不適正に使ってしまうケースが増えています。こうした事に備え、救急電話相談や民間救急車などの制度が、より重要になってきています。(コラム「救急車を呼ぶ前に〜救急相談センターへ」参照)

   

マガジン表紙へ