簡単にリスクが判明するけど…対応は慎重に
少量の唾液・尿・血液で

ガンは診断や治療の技術が進歩し、早期ガンであれば死亡リスクをかなり減らせるようになりました。そのため、ガンのリスクを数値的に把握して、早期発見に結びつけたいと考える人が増えています。そのようなニーズを受けて、少量の唾液、尿、血液を採るだけでリスクが分かる検査の開発が続いています。

こんなにある? 簡単な検査

例えば、採血のみの簡単な検査で、ガンに至る過程で特異的に減少する長鎖脂肪酸を測定して発症リスクを検査できます。また、わずかな尿を使って、嗅覚に優れた線虫がガンの匂いに引き寄せられることを利用した検査もありますし、血液中アミノ酸濃度を測定して、健康な人とガンである人のアミノ酸濃度の違いを解析して、ガンのリスク評価をする検査もあります。さらに、ガンに関わるmRNAの発現パターンを解析することで、数種類のガンを90%以上の精度で特定するマイクロアレイという検査もあります。

あくまでも「リスク」と「傾向」

ガンのリスクのみならず、生活習慣病などの病気へのリスクや個々人の遺伝的傾向などを調べられる検査キットも出てきています。運動や代謝能力など体質に関する遺伝的傾向を100以上の項目で調べられ、祖先のルーツに関する情報まで知ることができる検査も増えています。しかし、こうした検査はあくまでも病気の「リスク」や「傾向」を調べるだけであることを心に留めておかなければなりません。

自己判断は危険

検査で「ガンのリスクが検出されなかった」人でもガンに罹患していないとは言い切れませんし、検査で「ガンのリスクが高いと判定された」人でも、必ずしもガンに罹患していることを示すわけではありません。あくまでもリスクの判断ということを必ず理解しておかなければならないのです。そのような検査キットの検査結果だけで自己判断することは避け、気になった点は医療機関を受診し医師に相談しましょう。

    

マガジン表紙へ