全部チェックできるのが魅力 「全身MRI」

注目集めるMRI検査

全身に潜むガンの疑いを一度の検査で調べられる」と注目を集めているのが全身MRI検査です。MRI検査は強力な磁場と電磁波を利用して画像を撮影します。頭部や脊椎、手足の関節などの部位を調べることを得意とし、脳や脳血管の様子を詳しく観察できるので脳卒中や脳腫瘍の診断にも欠かせません。

ガン検査にも向いている

また、正常な組織とガンの部分のコントラスト(画像上の差)がよく見えるという長所があり、ガンの有無を調べる検査にも利用されます。とくに脳、乳腺、肝臓、子宮、前立腺など、CT検査では判別しにくい臓器の診断に役立ちます。従来のMRI検査では、一度の検査で体の一部分しか調べられなかったのですが、拡散強調画像(DWI)という撮影法が開発されたことで、一度のMRI検査でほぼ全身を調べられるようになりました。

DWI法によって可能に

DWI法は水分子の動き(拡散運動)をとらえ、画像に白黒の差で表す撮影方法です。ガン組織は正常な組織と比べて細胞どうしが密になっており、水分子の動きが制限されるため、その部分が白く強調された画像が得られます。ガン組織とその周りの組織とで白黒の差がはっきり生じるので、ガンを見つけるのに優れた検査法と言えます。特に前立腺がんの診断においてすでに確立した手法となっていて、小さなガンも発見することが可能です。

高額なのがネック

全身MRI検査は、狭い空間が極端に苦手な人や体内に金属類を埋め込んでいる人以外は行うことができ、とても有効な検査手段ですが、全額自己負担の人間ドックのため、安くても10万円という高額な料金が障壁でしょう。日本はMRIの(人口100万人あたり)配備台数が世界1位で、他国を大きく上回っていても、実際の検査数はそれほど多くありません。使われていないMRIをより安価で活用できると良いのかもしれません。

    

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