冬になるといつもだるい・・・「冬季うつ」


寒くなるとだるくなる

寒い時期になると、だるくなる症状が現れる場合があります。寒いから朝起きるのがつらいのかな、それとも本当に具合悪いのかなと思っているうちに、春が来て暖かくなると、いつの間にか治っている。そのような症状が毎年出てしまう人は、冬季うつの場合があります。

日照の少なさが原因

医学的には季節性感情障害と呼ばれ、1980年代に病名がついた新しい概念の病気です。日照時間や日照量が減少することによって、精神安定をつかさどる神経伝達物質セロトニンの分泌が低下することが原因とされています。北米や北欧など冬に日照時間が短くなる地域で多く見られる病気です。日本でも東北や北陸などでは、日本全体の平均罹患率の3〜4倍の患者がいると言われています。

一日じゅう眠いし、食欲が増す

とにかく一日じゅう眠くてたまらない、食欲が増すということが、通常のうつ病と大きく異なる点です。食欲は特に甘いものへの欲求が高まります。これは日照時間や日照量の減少による、脳内のセロトニン不足と関係しています。セロトニンが生成される前段階の物質は乳製品やタンパク質、大豆やナッツなどに含まれるトリプトファンです。このトリプトファンを脳内のセロトニンにかえるために必要な物質が糖なのです。不足しているセロトニンをつくろうと身体が判断して、糖を多く含む甘いものを欲するようになるのです。

日の光で対策

冬季うつの場合、体内時計に関わるメラトニンというホルモンの分泌にも乱れが生じています。日中の眠気やだるさを改善するため、朝や日中にしっかりと日の光を浴びるのが良い対策です。医師の指導により人工的に光量の強い特別なライトを当てる高照度療法を行なう場合もあります。この療法は予防にも効果があり、夏の終わり頃からこの療法を行なうと冬季うつの発症を予防できます。

    

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